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佐藤富徳が発明した特許出願リスト
 

◆弁交換装置

(書誌+要約+請求の範囲)

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開平6−147393
(43)【公開日】平成6年(1994)5月27日
(54)【発明の名称】弁交換装置
(51)【国際特許分類第5版】
F16L 55/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願平4−299543
(22)【出願日】平成4年(1992)11月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号
(72)【発明者】
【氏名】鍛治 哲雄
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】深海 次郎
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 富徳
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内
(74)【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修



(57)【要約】
【目的】 液体貯槽等の本体付弁装置の弁取替作業において、貯蔵物を抜出すことなく弁装置を取替えることが可能な弁交換装置を得る。
【構成】 配管1a内に挿入自在な管体4aの先端部に流体バッグ4bを連通連結した構成で、配管1a内において流体洩出防止の用に供されるバッグ付挿入管4を備え、筒状のシール用短管5を備え、配管1aに着脱自在に固着するための配管取付部材6a、6bと、配管取付部材6a、6bに連結されてバッグ付挿入管4の管体4aの軸方向移動を阻止する管体移動阻止部材6cと、シール用短管5を位置保持するシール用短管支持部5eとを設け、シール用短管支持部5e及び管体移動阻止部材6cと配管取付部材6a、6bとの連結位置を配管1aの軸方向で位置変更自在に、さらに管体移動阻止部材6cと管体4aとの連結位置を管体4aの軸方向で位置変更自在に構成する。



【特許請求の範囲】
【請求項1】 配管(1a)内部から流体圧が掛かった状態の配管端部に離脱自在に連結される弁装置(2)を、前記配管内部からの流体洩出を防止しながら交換するために使用される弁交換装置であって、前記配管(1a)内に挿入自在な管体(4a)の先端部に流体バッグ(4b)を連通連結した構成で、前記配管(1a)内において前記流体洩出防止の用に供されるバッグ付挿入管(4)を備え、一端側に前記バッグ付挿入管(4)を封密状態で摺動自在に挿通可能な管体挿入口(5a)を、他端側に前記弁装置(2)に接続自在な接続口(5b)を備えた筒状のシール用短管(5)を備え、前記配管(1a)に着脱自在に固着するための配管取付部材(6a),(6b)と、前記配管取付部材(6a),(6b)を前記配管(1a)に固着した状態で、前記配管取付部材(6a),(6b)に連結されて、前記バッグ付挿入管(4)の管体(4a)の軸方向移動を阻止する管体移動阻止部材(6c)を備え、前記配管取付部材(6a),(6b)に連結されるシール用短管支持部(5e)を前記シール用短管(5)に備え、前記シール用短管支持部(5e)及び前記管体移動阻止部材(6c)が前記配管取付部材(6a),(6b)に対して配管(1a)の軸方向に連結位置変更自在に構成されるとともに、前記管体移動阻止部材(6c)に対して前記管体(4a)が前記配管(1a)の軸方向で位置変更自在に構成されている弁交換装置。
【請求項2】 前記弁装置(2)が、本体配管(100)から分岐される分岐管(101)の非分岐側端部に配設される弁(200)であり、前記配管取付部材が、前記本体配管(100)に着脱自在に取付られる本体配管取付部(60b)と前記本体配管取付部(60b)と一体に設けられ、前記分岐管(101)の分岐方向に延出される延出部(60a)から構成されている請求項1記載の弁交換装置。
【請求項3】 前記バッグ付挿入管(4)の管体(4a)が、前記流体バッグ(4b)側の大径部(4l)と前記大径部(4l)に他端側で接続する小径部(4m)とを備えた段付管体として構成され、前記段部(4n)が前記管体移動阻止部材(6c)の当接部として構成される請求項1もしくは2記載の弁交換装置。

詳細な説明

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液体貯槽又は圧力配管等の元弁(内圧力がかかり、かつフランジ接続型の元弁)が故障した場合等の弁取替作業において、貯蔵物又は配管内流体を抜出さず弁を取り替えることが可能な弁交換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の弁装置の交換に当たっては、貯槽あるいは圧力配管内の内容物を抜き出し、弁装置に流体圧が掛からない状態で弁の取り替えをおこなっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし従来工法では、貯槽又は圧力配管の使用を停止した上で、貯蔵物又は配管内流体を抜出した後、元弁を取替えるのが一般的であった。従って、以下のような問題があった。
1)貯蔵物の抜出し、仮保管、パージ等、弁装置取替えに至るまでの前処理及び再充填に多大の費用と労力を要する。
2)液体等の貯蔵物が可燃性物質であれば、仮保管場所の選定、管理等が煩雑になる。
3)弁取替え作業よりも前処理、保管管理及び再充填の作業量の方が大きく非能率的である。
4)さらに、例えば貯蔵物がHiーEX用原液の場合、原液をタンクより抜き出すと万一の緊急時に防災機能が発揮できない。
従って、貯槽又は圧力配管の元弁の取替えに当たっては、取替え作業は圧力下で行なう必要があり、安全に元弁を取替える工法が望まれていた。
【0004】そこで本発明の目的は、液体貯槽・圧力配管等の本体付弁装置の弁取替作業において、貯蔵物を抜出すことなく弁装置を取替えることが可能な弁交換装置を得ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するための本発明による弁交換装置の特徴構成は、配管内に挿入自在な管体の先端部に流体バッグを連通連結した構成で、配管内において前記流体洩出防止の用に供されるバッグ付挿入管を備え、一端側にバッグ付挿入管を封密状態で摺動自在に挿通可能な管体挿入口を、他端側に弁装置に接続自在な接続口を備えた筒状のシール用短管を備え、配管に着脱自在に固着するための配管取付部材と、配管取付部材を配管に固着した状態で、配管取付部材に連結されて、バッグ付挿入管の管体の軸方向移動を阻止する管体移動阻止部材を備え、配管取付部材に連結されるシール用短管支持部をシール用短管に備え、シール用短管支持部及び管体移動阻止部材が配管取付部材に対して配管の軸方向に連結位置変更自在に構成されるとともに、管体移動阻止部材に対して管体が配管の軸方向で位置変更自在に構成されていることにある。そして、その作用・効果は次の通りである。
【0006】
【作用】この弁交換装置は、バッグ付挿入管、シール用短管支持部を備えたシール用短管及びこの位置保持具である配管取付部材、管体移動阻止部材とを備えて構成される。使用にあたっては、予め、各部材を組み立てて配管取付部材を配管に、シール用短管を弁装置に取付可能にしておく。ここで、バッグ付挿入管はシール用短管に挿入された状態で準備される。そして、シール用短管を弁装置の排出側に取り付けるとともに、配管取付部材が、配管に取付られる。この状態においては弁装置は閉状態に維持されている。そして、弁装置を開状態とし、配管内までバッグ付挿入管を侵入させて、バッグを膨張させて配管内からのガスの洩出を遮断する。この時、配管取付部材、管体移動阻止部材とが、それぞれ配管、管体に渡って装着され、バッグ付挿入管を配管外部から支持し、バッグの抜けが防止される。また、シール用短管はシール用短管支持部を介して配管取付部材に連結されて位置保持される。その後、配管取付部材、管体移動阻止部材、シール用短管支持部との管体の軸方向での連結位置を調整しながら弁装置を交換し、以後上記の工程を逆に辿って、弁装置の交換を完了する。即ち、このような作業手順を採用する場合は、配管外への貯蔵物の漏洩を防止した状態で作業を進めることが可能であるため、貯蔵物を外部に取り出すことなく作業がおこなえる。
【0007】
【発明の効果】従って、この弁交換装置を採用することにより、貯槽の本体付ノズルフランジ以降の弁装置を実動状態で取替えることが可能となり以下の効果がある。
1)貯蔵物の抜取り、再充填が不要で、仮貯蔵タンク等が不要であり、大幅な経費・労力の削減が図れる。
2)弁交換装置の応用により、各サイズ、液種の貯槽、配管等に適用が可能である。
3)具体的な成果について説明すると、HiーEX用原液タンクの場合は以下のような成果が得られた。
■ タンク内の原液を抜き出さずに、仕切り弁の取替えが行えたことにより、万一の緊急事態が発生していたとしても、防災活動は正常に何の支障もなく行えた(作業時間30分であった)。
■ 原液の抜出し、再充填作業が生じなかったことにより、機材調達、作業員等が不用となり、費用削減がはかれた。又、間接的には、作業に係る打合せ、調整、資料作成等の費用、労力も少なかった。
【0008】
【実施例】以下、図面に基づいて、HiーEX用原液タンク1に備えられる抜き出し管1a(これが配管に対応する)に取り付けられる弁装置としての液面発信器用の元弁(フランジ接続型)2を交換する場合に使用される、弁交換装置3について説明する。図1、図2には、夫々、使用状態にある弁交換装置3の平面視図及び側面視図が、さらに、図3、図4には、夫々、本願の弁交換装置3の平面視図及び側面視図が示されている。この弁交換装置3は、図3、図4に示すように、バッグ付挿入管4、シール用短管5、支持部材6等を備えて構成されている。
【0009】先ず図3、図4に基づいてバッグ付挿入管4の構成について説明する。このバッグ付挿入管4は、先端側が太い管で構成される二段構成の管体4a(ここで先端側を大径部41,後端側を小径部4mと呼び、両者の間に段部4nが形成されている)の先端部に、流体バッグ4bを連接して構成されており、この管体4a内にはN2ガス封入用のナイロンホース4cが貫通され、このホース4cに供給側との縁切り用の縁切り弁4d及び簡易着脱具4eが備えられている。さらに、前述の管体4aの先端部は流体バッグ4bの膨張状態では、これを基端側から支持できるように凹面形状が採用されている。
【0010】次にシール用短管5の構成について説明する。これは、一端側に前述のバッグ付挿入管4の管体4aを封密状態で挿通可能な管体挿入口5aを、他端側に、一般にフランジ部2aを備えた前述の元弁2に接続自在な接続口5bを備えた筒状部材から構成されている。ここで、管体挿入口5aとバッグ付挿入管4との封密関係は、両者の接触部にOリング7を介装することにより達成されている。また、このシール用短管5にはホース5dが備えられており、これにドレーン用バルブ5cが装置されて、内部液の除去あるいはバッグのシール性の確認が可能な構成とされている。さらに、これはシール用短管支持部5eを備えており、後述する配管取付部材を構成する横アングル部材6aに連結可能とされるとともに、配管の軸方向における連結位置を位置変更可能とされている。
【0011】次に、支持部材6について説明する。図示するように、この支持部材6は、一対の横アングル部材6aと、この横アングル部材6aと共に使用される複数の固定金具6b、6cとを備えて構成されている。そして、少なくとも一個の配管固定金具6bは、原液タンク1に設けられている抜き出し管1aに取りつけ固定することが可能な構成(実施例においては、抜き出し管1aを円弧部60により挟持できるような構成とされている)とされている。ここで、配管固定金具6bと横アングル部材6aを配管取付部材と呼ぶ。一方、前述の管体4aの小径部4m外周部を、その周部より挟持することにより、この管体4aを固定する管体固定金具6cが備えられている。即ち、これらの部材6a,6b,6cを取付ることにより、バッグ付挿入管4が液圧等によって、軸芯方向に外側へ抜け出るのを阻止することができる。よって管体固定金具6cを管体移動阻止部材と呼ぶ。この管体固定金具6cは、管体4aの軸方向において管体4aに於ける取付固定位置を変更自在に構成されている。このように構成することにより、弁の取り外し時等に後述するように取付位置を変更して、迅速に作業を進めることができる。この位置変更は管体4aの小径部4mと移動操作具40との間に設けられるネジ及びラチェット機構との間でおこなえる。さらに、支持部材6には、前述の横アングル部材6aとは対となる縦アングル部材6dが備えられており、横アングル部材6aを地面側より支持できる構成が採用されている。
【0012】本願の弁交換装置3においては、各部に於けるシール、バッグ付挿入管の適正な位置保持、更には残液の処理を迅速におこなうことが肝要である。従って、本弁交換装置3においては、弁開弁時のシール性を確保するためシール用短管5とバッグ付挿入管4間ではOリング7を採用し、弁取外し時の抜き出し管1aの遮断については、バッグ付挿入管4に備えられた流体バッグ4bにより確実なシールを確保するものとした。さらに、バッグ付挿入管4自体の抜き出し管1aからの抜け止めを確保するため、前述の支持部材6が装備されている。また、流体バッグ4bの膨張、収縮を円滑におこなうために、管体4aは二重管構成を採用し、シール用短管内に残留する残液処理はドレーン用バルブ5c及びホース5dを取付け、溜まり液流出防止を図るとともに、横アングル部材6aと固定金具6b、6cについてはボルト・ナット固定方式とし、簡単な脱着構成が採用されている。
【0013】具体的な構成要件を以下に箇条書きする。
・抜き出し管1a口径3B内径 80.7mmバッグ4bの受圧面積 102.3cm2液頭圧 0.5kg/cm2シール部構成a.Oリング7本シール型式は油圧シリンダー等で一般的に使用しているものを採用しているため、低圧(3kg/cm2以下)の本件の場合は問題とならない。
b.流体バッグ4b液頭圧に対するバッグ圧の適正値を把握すべく、テストを行った。結果液頭圧+1kg/cm2以上あれば問題ない。
【0014】以下に図5〜図9に基づいてバルブ取り替え操作の手順に付いて順次説明する。
弁取替え手順1 液面発信器10取外し準備(図5(1)参照)
元弁2を閉止し、接続配管11内の原液を抜き取る。
2 液面発信器10及び接続配管11取外し。(図5(2)参照)
3 プレハブされた弁交換装置3を用意する。(図5(3)参照)
4 シール用短管5及びバッグ付挿入管4取付(図6(4)参照)
元弁閉止の状態で、バッグ付挿入管4を管体挿入口5aに貫通したシール用短管4を元弁のフランジ部2aに装着するとともに、配管固定金具6bを、円弧部60とボルト・ナットで抜き出し管1aに接続固定する。
5 元弁2を開とし、移動操作具40の操作によりバッグ付挿入管4を抜き出し管1a(配管対応部)まで差し込み、流体バッグ4bを膨らませる。(図6(5)参照)
この時、管体4aとシール用短管5に備えられるOリング7の作用により、原液の外部への漏洩は回避される。バッグ付挿入管4の移動時には、Oリング7を使用していることで、管体4aの移動時もシール効果が発揮される。さらに、移動完了状態において、管体4aを抜き出し管1aより支持部材6を使用して抜けは防げる。さらに、流体バッグ4bの膨張においては、管体4a内を介して、流体バッグ4bにN2ガスを封入し、流体バッグ4bを膨張させ、流体バッグ4bで原液のシールを図る。
6 元弁2の移動(図6(6)参照)
シール用短管5に備えられたドレーン用バルブ5cを開とし、元弁2部及びシール用短管5内の溜液を抜き出し処理する。この際、バッグのシールがうまくいっていることを確認する。シール用短管支持部5eの位置を変えながら、元弁2及びシール用短管5を同図において右側に移動させて、取外す。この時、管体固定金具6cの働きにより元弁2の移動に係わらず流体バッグ4bの外れ、シール性に影響を与えることなく作業をおこなうことができる。
7 新たな管体固定金具6cの取付及び元弁2の取り外し(図7(7)参照)
新たな管体固定金具6cを段部4nに固定して、管体4aの抜け止めを図るとともに、シール用短管支持部5e、元弁2、シール用短管5を外す。以上、分離工程8 新規元弁の挿入(図7(8)参照)
工程7で取り付けた新たな管体固定金具6cを装着のまま、シール用短管支持部5eを備えたシール用短管5、新規元弁2をセットした状態で、管体固定金具6cの後方部位に装着。セットされた新規元弁(図外)の取付けは、上項の逆手純で作業を行う。
9 新たな管体固定金具6cの取付(図7(9)参照)
管体固定金具6cを新規元弁2、シール用短管5の一体物の軸方向後方側に取り付けるとともに、段部4nに取付られている管体固定金具6cを解除。
10 新規元弁2、シール用短管5の一体物の抜き出し管フランジ部への固定、(図8(10)参照)
11 流体バッグ4bの収縮とバッグ付挿入管4の引き抜き(図8(11)参照)
12 新規元弁の閉弁と弁交換装置の取りはずし(図8(12)参照)
13 液面発振器10及び接続配管11の装着、復旧(図9(13)参照)
このようにして弁取り替え作業を完了する。
【0015】〔別実施例〕上記の実施例においては、HiーEX用原液タンク1に備えられる抜き出し管1aに備えられる元弁2の交換のために、本願の装置を使用する場合を示したが、タンクが分岐管101を備えた圧力本体配管部100であり、交換対象となる部材がこの分岐管101の先端に備えられる弁200である場合も、本願の装置を採用して交換することは可能である。このような例が図10,11に示されている。同図のものにおいては、配管取付部材が、本体配管100に着脱自在に取付られる本体配管取付部60bと本体配管取付部60bと一体に設けられ、分岐管101の分岐方向に延出される延出部60aとして構成されている。従って、抜き出し管相当部を単に配管と、元弁相当部を弁装置と呼ぶ。さらに流体バッグの構造としては、図12に示すように一対の剛体部材40に挟持されたバッグ4bを備えたものとしても良い。
【0016】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。

 
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