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(書誌+要約+請求の範囲)
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開平5−99778
(43)【公開日】平成5年(1993)4月23日
(54)【発明の名称】ガス漏れ監視装置
(51)【国際特許分類第5版】
G01M 3/04 7324-2G
3/38 7324-2G
【審査請求】有
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願平3−260113
(22)【出願日】平成3年(1991)10月8日
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 富徳
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】金川 俊英
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】隅田 幸一
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】西尾 武司
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内
(74)【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修
(57)【要約】
【目的】 低消費電力で、且つ、長寿命のガス漏れ監視装置を提供することを目的とする。
【構成】 ガス漏れ監視対象領域Aに向けて被検出ガスgに吸収される波長の検出用赤外線を照射する赤外線照射手段Eと、ガス漏れ監視対象領域Aの背景から放射、或いは反射された赤外線を検出する赤外線検出手段Rと、その赤外線検出手段Rの検出結果に基づき被検出ガスgに吸収される波長の赤外線の強度からガス漏れの有無を判別するガス漏れ判別手段Jとを備えて構成してあるガス漏れ監視装置であって、前記ガス漏れ判別手段Jによりガス漏れと判別された場合に、前記赤外線照射手段Eを作動させる赤外線照射制御手段Cを設けて構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ガス漏れ監視対象領域(A)に向けて被検出ガス(g)に吸収される波長の検出用赤外線を照射する赤外線照射手段(E)と、ガス漏れ監視対象領域(A)の背景から放射、或いは反射された赤外線を検出する赤外線検出手段(R)と、その赤外線検出手段(R)により検出された赤外線の強度からガス漏れの有無を判別するガス漏れ判別手段(J)とを備えて構成してあるガス漏れ監視装置であって、前記ガス漏れ判別手段(J)によりガス漏れと判別された場合に、前記赤外線照射手段(E)を作動させる赤外線照射制御手段(C)を設けてあるガス漏れ監視装置。
【請求項2】 前記赤外線検出手段(R)を、前記検出用赤外線の波長を含む帯域の光線束を透過するフィルタ(F)と、そのフィルタ(F)を透過した赤外線を受光する受光素子(R1)で構成して、前記赤外線照射制御手段(C)が、前記赤外線照射手段(E)を作動させる場合に、前記フィルタ(F)の帯域を狭くするフィルタ切替え手段(FC)を設けてある請求項1記載のガス漏れ監視装置。
詳細な説明
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガス漏れ監視対象領域に向けて被検出ガスに吸収される波長の検出用赤外線を照射する赤外線照射手段と、ガス漏れ監視対象領域の背景から放射、或いは反射された赤外線を検出する赤外線検出手段と、その赤外線検出手段により検出された赤外線の強度からガス漏れの有無を判別するガス漏れ判別手段とを備えて構成してあるガス漏れ監視装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種のガス漏れ監視装置は、従来おこなわれてきた、定点監視のものに対して提案されているのである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の従来技術によるガス漏れ監視装置によれば、赤外線照射手段を常に作動させるに必要があるが、光源となるレーザー発振器の寿命が短くなるという欠点、さらには、検出用光線束照射手段を作動させる電力の消費量が大となるという欠点、又広域監視をレーザーで実施する場合には、高価かつ大型の大パワーレーザーが必要であるという欠点があった。本発明の目的は上述した従来欠点を解消する点にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため、本発明によるガス漏れ監視装置の特徴構成は、ガス漏れ判別手段によりガス漏れと判別された場合に、赤外線照射手段を作動させる赤外線照射制御手段を設けてあることにある。上述の構成において、赤外線検出手段を、前記検出用赤外線の波長を含む帯域の光線束を透過するフィルタと、そのフィルタを透過した赤外線を受光する受光素子で構成して、前記赤外線照射制御手段が、前記赤外線照射手段を作動させる場合に、前記フィルタの帯域を狭くするフィルタ切替え手段を設けてあることが好ましい。
【0005】
【作用】赤外線照射手段を常時作動させるのではなく、通常は、ガス漏れ監視対象領域の背景(たとえば、ガス球形ホルダー等のガス関連施設や、樹木等の自然物)から放射された赤外線(輻射熱)を赤外線検出手段により検出して、その検出結果に基づき得られる被検出ガスに吸収される波長の赤外線の強度からガス漏れ判別手段により、ガス漏れの有無を粗く判別する。即ち、ガス漏れ判別手段は、ガス漏れの発生があれば、そのガスに吸収される波長の赤外線の強度が低くなることを利用してガス漏れの有無を判別する。ガス漏れ判別手段による粗い精度でのガス漏れの発生が判別されると、赤外線照射制御手段は、前記背景に向けて検出用赤外線を照射して、前記背景からの反射赤外線の強度に基づくより精度の高いガス漏れ判別を可能にすべく、赤外線照射手段を作動させるのである。上述の構成において、赤外線検出手段を、前記検出用赤外線の波長を含む帯域の光線束を透過するフィルタと、そのフィルタを透過した赤外線を受光する受光素子で構成してある場合には、前記赤外線照射制御手段が、通常は帯域の広いフィルタに設定して微妙なガス漏れも逃さないようにS/N比を下げた状態とし、前記赤外線照射手段を作動させる場合に、フィルタ切替え手段により前記フィルタの帯域を狭くすることで、どの程度のガス漏れであるかを詳細に検出すべくS/N比を上げることが好ましい。
【0006】
【発明の効果】本発明によれば、光源となるレーザー発振器の寿命を長く保ち、しかも、光源に消費される電力消費量を低減しながらも、ガス漏れの発生を確実に検出できるガス漏れ監視装置を提供することができるようになった。さらに、広範囲をカバーしようとすればする程、大出力レーザーが必要となるが、レーザーで限られた範囲を監視すればよいので、必ずしも大出力レーザーが必要でない。
【0007】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1及び図2に示すように、ガス漏れ監視装置1は、ガス製造工場における球形ホルダー2近辺、特に球形ホルダー2に接続されている配管のフランジ接続部2aにおけるガス漏れ監視を行うもので、ガス漏れ監視対象領域Aに向けて被検出ガスgであるメタン、エタン、プロパン、ブタンといった可燃性ガスgに吸収される波長λの検出用赤外線Lを照射する赤外線照射手段Eと、ガス漏れ監視対象領域Aの背景、例えば球形ホルダー2等から放射、或いは反射された赤外線を検出する赤外線検出手段Rと、その赤外線検出手段Rの検出結果に基づき被検出ガスgに吸収される波長の赤外線の強度からガス漏れの有無を判別するガス漏れ判別手段Jとを備えて構成してある。前記赤外線照射手段Eは、前記波長λの検出用赤外線を発振するレーザ発振器E1と、レーザ発振器E1により出力された赤外線Lをガス漏れ監視対象領域Aに向けて照射する光束拡散装置E2とで構成してある。前記赤外線検出手段Rは、ガス漏れ監視対象領域Aの背景である球形ホルダー2等のガス関連施設や樹木等の自然物から放射され、或いは前記赤外線照射手段Eにより照射された赤外線のうち反射された赤外線であって、ガス漏れ監視対象領域Aを透過した赤外線強度を検出するもので、干渉フィルタFと受光素子としての赤外線イメージセンサR1とで構成してある。前記ガス漏れ判別手段Jは、図3に示すように、前記赤外線検出手段Rにより検出された赤外線エネルギーをガス濃度に対応する二次元の濃淡画像に表すCRT等の表示装置J1と、濃淡画像のうち所定の閾値(例えば、正常状態の背影を代表する値をこの閾値とする。)より大なる濃度の領域に前記被検出ガスgが分布していると判断する比較装置J2とで構成してある。
【0008】以上に説明したガス漏れ監視装置における各要素の諸元を箇条書きする。
レーザ発振器E1から出力される赤外線レーザー型式 ヘリウム−ネオンレーザー公称出力 8mW中心波長 λ 3.39μm、透過スペクトル幅 0.09μm視野角 最大14°背景との距離 数m〜数100m赤外線イメージセンサR1検知波長域 3μm〜5μm最大検知温度差 0.15℃以下(NETD)
【0009】
【数1】
【0010】前記ガス漏れ監視装置1には、ガス漏れ判別手段Jによりガス漏れと判別された場合に、前記赤外線照射手段Eを作動させる赤外線照射制御手段Cを設けてある。つまり、前記赤外線照射手段Eを常時作動させるのではなく、通常は、前記赤外線照射手段Eを停止させて、ガス漏れ監視対象領域Aの背景から放射された赤外線(輻射熱)を前記赤外線検出手段Rにより検出して、ガス漏れ判別手段Jによりガス漏れの有無を粗く判別する。即ち、前記ガス漏れ判別手段Jは、ガス漏れの発生があれば、そのガスに吸収される波長の赤外線の強度が低くなることを利用して、設定強度より低い場合にガス漏れが発生しているといった場合にガス漏れの有無を判別する。前記ガス漏れ判別手段Jによる粗い精度でのガス漏れの発生が判別されると、赤外線照射制御手段Cは、前記背景に向けて検出用赤外線Lを照射して、前記背景からの反射赤外線の強度に基づくより精度の高いガス漏れ判別を可能にすべく、赤外線照射手段Eを作動させるのである(この場合、通常時の監視域より狭い領域に赤外線を集光して、照射する)。詳述すると、検出用赤外線Lがガス漏れ監視対象領域Aを介して球形ホルダー2を背景とする地域に向けて照射されると、この背景からその検出用赤外線Lが反射して前記赤外線検出手段Rに入射することになり、この信号を検出して前記ガス漏れ判別手段Jに出力する。ここで、ガス漏れ監視対象領域Aに被検出ガスgがあると、このガスgに検出用赤外線Lが往路及び復路において吸収され、検出用赤外線Lに空間的な(二次元写像とされた場合の異なった位置で)強度差を生じることとなる。従って、この情報がイメージセンサR1で検知され、表示される場合は、図3に示すように、その画像がガスの有無、濃度に従って濃淡画像、もしくは異なった色彩画像(このような処理をおこなう場合は)として表示することが可能となるのである。
【0011】さて、ガス漏れ監視装置1の監視動作は以上のようであるが、前記赤外線照射手段Eの作動状態、非作動状態にかかわらず、単一の干渉フィルタFを用いた場合には、前記表示装置J1に於ける表示画面が太陽光等の影響で過度に明るくなったり暗くなったりすることがあり、さらに、監視対象のガス濃度に対する表示画面上での明度差が低く、例え表示されたとしても明確にガスの存在が目視確認できない等の問題が起こることがある。イメージセンサR1で検知される真に必要な赤外線の強度信号は波長λが3.39μm付近に対応するものであるが、微妙なガス漏れをも逃さないために、前記赤外線照射手段Eの非作動状態では前記干渉フィルタFとして検知波長域がより広い帯域の赤外線強度を検出する必要がある。その強度信号で濃淡を表現すべく正規化されたイメージセンサR1に対して、前記赤外線照射手段Eを作動させて背景から反射するエネルギーの大なる赤外線を検出すると、波長λが3.39μm付近での強度信号は一定値以上で飽和して濃淡が識別できなくなるからである。そこで、図4及び図5に示すように、前記赤外線照射制御手段Cが、通常は帯域の広いフィルタR3に設定して微妙なガス漏れも逃さないようにS/N比を下げた状態とし、前記赤外線照射手段Eを作動させる場合に、フィルタ切替え手段FCにより前記フィルタFの帯域を狭くしたフィルタR2に切り換えることで、どの程度のガス漏れであるかを詳細に検出すべくS/N比を上げるように構成してある。
【0012】以下に別実施例を説明する。上述の実施例においては、照射装置Eにより照射されるレーザー光を単一光とし、このレーザー光として可燃性ガスgにより吸収される波長のものを選択したが、照射装置Eに、こういった波長のレーザー光とともに、前記ガスgには吸収されない波長のレーザー光を照射する手段を設けて、この系の検出結果をグラウンドとし、吸収される波長の結果をガス情報として、この二波長の検出系によりガスを検出するものとしてもよい。この場合は、ガス濃度まで確定することが可能となる。さらに、ガス漏れ監視対象領域Aの背景としては、前記球形ホルダー2の他、地面、コンクリート壁、塗装済の鉄骨構造物等でもよく、さらに特定域についてはスクリーンを備えてもよい。又、背景は一般に静止しているのに対し、漏洩した被検出ガスgは流動する。従って、異なった時間における本願のガス漏れ監視装置1で可視化した映像情報を比較分析することによりガスの漏洩の状態を把握できる構成を採用することもできる。先の実施例では、赤外線照射手段にレーザー発振器を用いているが、光源としてレーザー発振器に限定するものではない。
【0013】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。 |
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